エアコンの故障? クーラーコンプレッサー交換前のトラブルシューティング


ご存じですか?

エアコンの効きが悪く、ガスを補充しても改善されない 、コンプレッサーから異音が発生、マグネットクラッチの調子が悪いなど、コンプレッサーの故障と判断しての交換作業は当たり前のように行っていると思います。

しかし、コンプレッサーを交換したのに、エアコンの効きが全く改善されない、交換したが直ぐにコンプレッサーが焼き付いてしまった。などの事例があります。

長年に渡り、コンプレッサーの交換理由をお客様からお聞きして来ましたが、最も多い理由が、『エアコンの効きが悪い』からですね。

しかしながら、コンプレッサーの交換だけで、 エアコンの効きが改善するだろうといった作業では、単なる憶測での交換作業となります。

実際、お客様から返却されましたコンプレッサーを確認しますと少数ですが不具合の無いコアがあります。安易な点検、交換作業では、同じ不具合が再発するのは間違いありません。

不具合が起きた際に、それぞれの部品に対して診断することが、漏れのない点検整備となります。
単純にコンプレッサーの交換作業だけでは完璧なエアコン修理とは言えません。

何故、コンプレッサーが故障したのか ? 故障した原因の追究が重要だと言えます。


カーエアコンの構造と仕組み



【 コンプレッサー】

クーラーガスを圧縮します。圧縮されたクーラーガスは半液体状態で高温(50℃~80℃) となり、コンデンサーへ送られます。

【コンデンサー】

ラジエターのような形状で、主に車両の前方に取り付けられており、走行中に受ける風、電動ファンの風などにより、コンデンサー内部を通過する高温高圧のクーラーガスを冷却し、液化が進みます。

【リキッドタンク】

液化したクーラーガスは、リキッドタンクにて不純物、余分な水分を除去し、エキスパンションバルブへ送られます。

【エキスパンションバルブ】

エキスパンションバルブでは、高圧で液化されたクーラーガスを小さな穴から一気に噴出します。の際、クーラーガスは低温・低圧となり、気化され、室内にあるエバポレーターへ送られます。

【エバポレーター】

冷えたエバポレーターで 空気中の水分が結露することで車内が除湿され、水は車外へと放出されます。また、ファンで送風された空気がエバポレーターを通過することで冷房になります。


カーエアコンでよくある不具合事例と原因


不具合事例 原因
風が出ない。微風か、強風しか出ない。 ヒューズ切れ、配線の接触不良、ブロアーモータの故障、レジスターやスイッチの故障、 エアコンフィルターの目詰まりなど
風は出るが全く冷えない ガス漏れ、コンプレッサー電磁クラッチの不良、コンプレッサー本体の不良、配線、ヒューズなどの接触不良、センサー、CPUの故障など
最初に冷風が出てすぐ冷えなくなる エキスパンションバルブの故障(固着・詰まり)、配管の詰まり、リキッドタンクの詰まり、サーミスターの不良、ガス量が少ない、エアコンフィルターの目詰まりなど
時間と共に効きが悪くなる クーリングファンの回転不良、コンデンサーファンスイッチの不良(圧力センサー式の場合)、コンデンサー自体の冷却能力低下、ガス量が少ない、コンプレッサーの発熱、エアコンフィルターの目詰まりなど
ガスは規定量だが、冷えが弱い コンプレッサー内部バルブなどの故障、エキスパンションバルブの開きすぎ、電磁クラッチの滑り、エアコンフィルターの目詰まり、CPU制御の不良(比較的新しいモデル)など
しばらくすると冷える 電磁クラッチの滑り・故障、コンプレッサーの異常発熱、ガス量が少ない、アイドルアップ用スイッチ(電磁バルブ)の故障、クラッチリレーの故障など
エアコンの効きが不安定(電気系の故障でオートエアコンなどで起きる場合が多い) 外気温センサーの不良、配線の断線、サーミスタの不良、車内温度センサ-不良、エアコン(コントロール)リレーの不良、エアコンCPUの故障、エアコンフィルターの目詰まり、コンプレッサー内部での目詰まりによる回転センサーが作動しているなど
最初は冷えるが、すぐ冷えなくなり、しばらく時間を置くとまた冷える ガスの入れ過ぎ、高圧側が詰まり気味、エアコンフィルターの目詰まりなど
アイドリング時にエアコンが効かない、または極端に弱い エアコンのアイドルアップ装置の故障、エンジン回転数が低すぎる、コンプレッサーオイルの入れすぎ、ガス量不足、コンデンサー、ファン、リレーなどの故障、または破損。エアコンフィルターの目詰まりなど
ガスチャージ出来ない(コンプレッサーの低圧側が高いとガスが入らない) コンプレッサーの圧縮不良、電磁クラッチの滑り・故障、低圧側の配管の詰まり、ガス量が多すぎ、エンジンルーム内やコンプレッサーの発熱で低圧が上がり過ぎなど
ガスチャージ出来るのにほとんど冷えない コンプレッサーの低圧側が極端に低い、エキスパンションバルブの不良、エバポレーターの不良、リキッドタンクの不良など

※カーエアコンのトラブルは、 構成部品が多いので様々な原因が考えられます。
しっかりとした点検・整備を心がけて下さい。


クーラーコンプレッサー交換時の注意点!!


1) クーラーコンプレッサーの交換理由に関わらず、エアコンサイクル内の洗浄作業は必須です

特に、コンデンサー・エバポレーターの洗浄不足がコンプレッサーの故障原因となります。
※洗浄により汚れを落とすことが困難な場合は、部品を新品交換して下さい。
洗浄不足・未洗浄の場合、コンプレッサーの異音、焼き付き、ロックなど不具合の発生につながります。

2)クーラーコンプレッサー交換時

レシーバ(リキッド)タンク・エキスパンションバルブは必ず新品交換してから、作業を行って下さい。
※未交換によりコンプレッサー、エアコンサイクルの作動不良の原因となります。

3 )冷媒(クーラーガス)の充填

真空引きを10~20分間かけて、エアコンサイクル内を完全に真空状態にして下さい。
対応するガス(R12・R134aなど)の種類に注意して下さい。
ガス充填の際、サービス缶を逆さまにしないで下さい。

※真空引き不足・過多、対応するガスの入れ違い、サービス缶を逆さまにしての充填などにより異音、焼き付き、ロックの原因となります。

※1~3の上記作業を怠った場合、交換したコンプレッサーの早期に破損につながります。